東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長を辞任した森喜朗氏と後任会長となった橋本聖子氏。2020年9月24日撮影(写真:代表撮影/AP/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 2月3日の「女性蔑視」発言の責任をとって、12日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が辞任した。森氏は、サッカーをはじめスポーツ界で大きな貢献があり、組織委の評議員である川淵三郎氏を後任に推そうとしたが、大きな批判に遭い、これは直ぐに白紙撤回となった。

 そこで、組織委は、8人からなる候補者検討委員会を作り、17日、橋本聖子五輪担当相に候補者を一本化した。18日、橋本氏が要請を受諾し、次期会長が決まった。五輪相の後任は、丸川珠代議員に決定した。五輪大臣の経験もある。

 この一連の人事の筋書きを書いたのは官邸であろう。小池百合子都知事の不満顔が目に浮かぶが、これで東京五輪は、東京都も国も組織委もトップはすべて女性ということになる。

官邸人事によって森氏の影響力も残存

 問題は、内外の反応である。今夏の開催に否定的な国民の気分が一変して、開催ムードが盛り上がるのかどうか。橋本氏については、過去の「セクハラ」疑惑が蒸し返されており、海外でも報道されている。これが世界でマイナスに評価される危険性はある。森発言が五輪の精神に反すると批判されたように、この「セクハラ」の件も同様な批判にさらされることになるからである。

 結局は、今回の人事は菅首相の意向が強く影響した「官邸人事」であり、結果的に“森院政”が確立したと言ってもよい。

 このような結果になった背景にについて考察してみたい。