「社会貢献」投資を考える
環境問題や社会貢献。確かに、現在そして将来に向かって、私たち人類が解決しなければならないテーマです。そして、環境問題や社会貢献をテーマとするファンドの中には、「利益の一部を投資家に代わって、慈善団体に寄付します」というファンドもあります。
しかし、環境問題や社会貢献に心を寄せることと、ファンドに投資をする目的は、全く別のこととしてとらえる必要があるのではないでしょうか?
そもそも、読者の皆さまは、何のためにファンドに投資をするのでしょうか?
本稿では、第1回から「現金のリスク」を、どのようにカバーしていくのかについて論じています。
投資や「現金のリスク」というと、後ろめたさというのか、浅ましさを少なからず感じていらっしゃる方も、おられることでしょう。
だからといって、環境問題や社会貢献のファンドを検討するというのは、本当に正しいのでしょうか?
「現金のリスク」は、外ならぬ「読者自身に関わる」将来の課題なのです。
その解決の手段の一つとして、ファンドへの投資があるのです。
ですから、「読者自身に関わる」将来の課題解決につながるようなファンドに投資をしなければ、意味がないのです。
環境問題や社会貢献につながるファンドに投資をする……そうしたファンドに組み込まれている企業が展開するビジネスは、本当に成長が期待され、株主に利益をもたらすものなのでしょうか?
ましてや、ファンドで生じた運用益の一部を慈善団体に寄付をする……なぜ、寄付をする必要があるのでしょうか?
もし、今後、市場の情勢が変化し、ファンドがパフォーマンスを上げることが難しくなった場合、それでも慈善団体への寄付を続けるのでしょうか?
寄付を続けるのだとしたら、投資家にとっては寄付をしている場合ではないでしょうし、かといって寄付を止めてしまうのであれば、今度は慈善団体の方が困ってしまうのではないでしょうか?
何のためのファンドへの投資なのか?……まとめに代えて
確かに、「ファンドは分からない」というお気持ちはよく分かります。ですので、少しでもなじみと関心のあるテーマを掲げたファンドに投資したい、という気持ちも、よく分かります。
が、やはり投資するファンドを検討するときには、「何のための投資」なのか、その視点を欠かさないでいただきたいと思います。
例えば「子どもの将来の進学資金を準備するため」に投資するファンドでしたら、「利益の一部を慈善団体に寄付」というファンドが選択肢にあがることはないでしょう。「寄付する分も、子どもの進学資金に充てたい」というのが、正直な親心ではないでしょうか?
あるいは「自身の老後資金のため」に投資するファンドでしたら、いかがでしょうか?
「自分のみならず、世界の将来を考えたら、地球の温暖化は防いだ方が良い」からと、地球温暖化防止ファンドに投資をしても、利益を得ることができないのであれば、地球温暖化防止はともかく、自身の老後の資金が枯渇することになります。
「ファンドは分からない」とおっしゃる方、まずは「何のための投資」なのか、原点に帰ってみましょう。
筆者の行ったアクション | 基準価額 | 純資産残高 |
---|---|---|
2007年8月31日 投資 | 10,000円 | 472.53億円 |
2013年11月6日 投資 | 5,175円 | 54.97億円 |
2020年12月21日 売却 | 8,846円 | 25.03億円 |
純資産残高の推移を見ても、果たして長期投資にふさわしいファンドと言えるのか……?