「地球温暖化防止」がテーマのファンド……筆者の失敗の軌跡

 今回は、社会貢献や環境をテーマとしたファンドへの投資を考えてみたいと思います。ここから筆者の経験を語らせて下さい。

 SRI(社会的責任投資)や、SDGs(持続可能な開発目標)という言葉を聞いたことはあるでしょうか? SDGsは比較的、最近の言葉だと思いますが、環境問題は古くから言われていることではないでしょうか?

 筆者は若かりし頃、地球環境の問題についてはそれほど熱心に取り組んでいたわけではありません。しかし、暑がりの大汗かきの筆者は、夏の暑さが特に堪えます。
 そんな筆者に朗報だったのが、「地球温暖化防止に取り組む企業に投資するファンド」の発売が開始される、というもの。

 筆者の場合、「夏の暑さがこれ以上、暑くならないように。何だったら、温暖化防止どころか、冷却化ファンドでも構いません」くらいな気持ちで、そのファンドにお金を投じることにしました。

 とはいえ、実際には筆者とは異なり、環境をテーマとするファンドへの投資を検討されている方は、地球環境問題に対し真摯に向き合っていらっしゃる方や、ご自身の投資で得るリターンがご自身のみならず、地球環境などの問題解決に役立ってほしい、そんな方ばかりであろうと察せられます。

 さて、筆者は「再生エネルギー・省エネルギー・温暖化ガス削減」に取り組んでいる企業に投資するファンド(以下「地球温暖化防止ファンド」と呼びます)を、2007年8月の発売開始と同時に10万円、投資しました。投資時の基準価額はちょうど10,000円でした。

 しかし、2007年8月といえば、あのリーマン・ショックの前年です。

 筆者が投資した地球温暖化防止ファンドは、2007年11月に設定来最高値の11,663円を記録して以後、本稿執筆時(2021年1月9日)に至るまで13年間、発売開始時の基準価額10,000円を回復することはありません。

 また、筆者の記憶が正しければ、ファンドの設定から本稿執筆時に至るまで、分配金の支払い実績はありません。

 国内外の株式に投資するファンドなので、2012年以後のアベノミクス、2016年以後のトランプラリーの恩恵もゼロではなかったはずですが、そうした株価上昇を横目に見ながら、筆者が投資した地球温暖化防止ファンドの基準価額は横ばいで推移していました。

 ちなみに、基準価額の設定来最安値は、2012年6月の2,919円です。
 設定直後に最高値を記録してから、リーマン・ショックで右肩下がりに下がって、もとの基準価額から7割減という設定来最安値を付けた後、しばらく横ばいが続きました。

 筆者も、このファンドの過去の実績を冷めた目で見ているしかありませんでした……。さすが、地球温暖化防止ファンドだけあって、まず投資家の心を冷やしてくれるんですね。

地球温暖化で溶けゆく南極の氷地球温暖化で溶けゆく南極の氷とはうらはらに、リーマン・ショックとともに冷え込む地球温暖化防止ファンドの価格

 その後、2013年11月6日に、地球温暖化防止ファンドの基準価額が5,715円の時に、筆者は30,000円の追加投資を行いました。

 その後も筆者は冷めた目でファンドの価格を見続けていましたが、最近の市場の株高傾向は、筆者の心に、ようやく春をもたらしてくれました。ファンドの基準価額は今年に入って9,000円を超え、投資時の10,000円まであと少しです。長かったですね。

 昨年12月21日に売り注文を入れました。2回に渡る投資元本の合計130,000円(=初めの100,000円と、追加の30,000円)に対し、得ることができた利益は5,312円です。
 約定した時の基準価額は8,846円でしたから、最初に投資した時の基準価額10,000円を大きく下回っていますね。利益を得ることができても、譲渡所得が生じなかったため、利益には税金が掛かりませんでした。

 それでも、2007年8月31日に投資をしてから、実に13年と3か月が経っています。13年間の利益の合計が、投資元本の約4%です。追加投資がなければ、今もマイナスのままでした。
 「地球温暖化防止」という、世界中の誰にとっても関心の高いテーマを掲げたファンドでしたが、以上のような軌跡をたどりました。