新型コロナウイルスが猛威をふるった2020年ですが、11月中旬より感染者数が急激に増加したため、「“第3波”が到来した」といわれています。そんな中、2020年12月末までとなっていた「雇用調整助成金(特例措置分)」や「緊急雇用安定助成金」、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の申請期限が延期に。厚生労働省より、「雇用調整助成金(特例措置分)」と「緊急雇用安定助成金」は2021年2月末まで(※1)、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」については2021年3月末まで(※2)、申請期限を延長する旨が発表されました。新型コロナウイルス感染症の蔓延が、この先の経済活動にどれだけ影響を及ぼすのか、まだまだ予断を許しません。ですから、企業の大切な財産である従業員の方々の雇用を守るため、今一度助成金の内容をチェックし、利用できる制度は最大限利用してみましょう。

雇用調整助成金:請求・支給の条件が緩和した特例措置を活用しよう

 まず、「雇用調整助成金」について見ていきましょう。これは新型コロナウイルス感染症が流行する前から存在した助成金ですが、支給要件が複雑でややこしいというイメージがありました。しかし、現在は特例措置が敷かれ、申請から支給までのハードルがかなり下がっています。その証拠に、約205万件の申請件数に対して、支給が決定されたのは約197万件と、実に96%の支給決定率になっています(2020年12月3日時点)。

 では、特例措置によってどれくらい便利になったのかを、具体的にご紹介しましょう。

(1)助成額および助成率が上がっている
「雇用調整助成金」の助成額は、これまでひとり1日あたり8,370円でしたが、特例措置により15,000円まで引き上げられました。また、助成率についても、解雇を行なっていない中小企業については100%になっています。つまり、従業員に支給した休業手当が15,000円までなら、その金額が100%手元に戻ってくるということになるのです。もし、やむなく解雇を行なった場合でも80%の助成率になるため、企業側への負担が本来よりも軽減されます。

(2)「生産指標10%以上の低下」という条件が、「5%以上の低下」に緩和
「生産指標」とは、生産量や生産額、販売量、そして売上高など、雇用量の変動と相関関係が高い値のことを指します。

 特例措置が取られる前は、休業を届け出る前の3ヵ月間について、対前年比10%以上の低下が要件でした。ですが特例措置では、休業を実施する対象期間の「初日」が2020年4月1日~12月31日の期間内である場合、生産指標の低下要件は5%以上と緩和されています(年明けの休業の対象期間については、今後の助成金支給要件の変更を確認しましょう)。なお、これら以外にも、特例措置で緩和されているものがたくさんありますので、チェックする価値は大いにあります。

 次は申請方法についてです。前述の通り、所定の申請用紙に加えて、下記の添付書類が必要となります。

●生産指標の低下を比較するための、月の売上がわかる売上簿やレジの月次集計、収入簿など
「休業した月」と、「1年前の同月」のものが必要となります。もし、事業所を設置して1年経っていない場合は、「休業月」と「1ヵ月~1年前までのいずれかの月の売上高との比較」でも構いません。

●従業員を休業させた日や時間がわかる書類(出勤簿やシフト表など)

●休業手当の額や賃金の額がわかるもの(賃金台帳や給与明細の写しなど)
従業員に支払う休業手当の額は「平均賃金の60%以上」とすることが条件となっています。

●役員名簿(役員がいる場合)
個人事業主や、事業主以外に役員がいない場合は必要ありません。

書類がそろったら、事業所を管轄する労働局やハローワークに提出します。郵送でも構いませんし、オンラインでの申請も可能です。

 ただし、申請期限は原則として「支給対象期間の末日から数えて2ヵ月以内」なので、注意が必要です。たとえば、賃金の締め日が月末で、10月1日~末日まで休業した場合は、12月末までに申請書が提出先に届いていなければなりません。自社の場合はどうなのか、労働局やハローワークに確認を取るようにしましょう。

 そして、上記の「雇用調整助成金」は「雇用保険の被保険者である従業員」が対象となっているため、週に1~2回程度しか就業していないなど、雇用保険の被保険者ではない従業員は助成金の対象外となってしまいます。そのような場合は、「緊急雇用安定助成金」の申請も検討してみましょう。