(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)
当初より危惧されていたとおり、秋、冬を迎えて新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。連日のように過去最多の感染者が発生している。重症者は7日連続で最多を更新している。残念だが、まだ増え続けるだろう。
多くの国民が心身ともに疲れ果てている。それでも、ともかく今は耐えるしかない、と思って懸命に生きている。COPD(慢性閉塞性肺疾患)という基礎疾患を抱えている私は、この間、雑誌の対談や講演、YouTubeなどへの出演をすべてお断りしている。埼玉県川越市に住んでいるが、東京に行ったのは10月に国立がんセンターに検査に行った一度だけである。こういう人は私だけではないと思う。もっと大変な方々も、多いはずだ。
何のメッセージも出せない菅首相
だが菅政権からは、コロナ対策への懸命さや危機感がまったく伝わってこない。そもそもほとんど記者会見もしておらず、やっても一方的にメモを読み上げるだけである。
11月26日、「国民の皆さんには、ぜひともマスク着用、手洗い、3密の回避という基本的な対策に協力いただきたい。一緒になって感染拡大を何としても乗り越えていきたい」と呼びかけたが、目新しいことは何もない。今さら聞かずとも分かっていることだけという空疎なものだった。記者の「なぜGo Toトラベルだけ触れないのか。理由を教えてくれませんか」という問いかけを無視して、逃げるように立ち去った。これでは国民に何も伝わらない。