(加谷 珪一:経済評論家)
新型コロナウイルスによる感染が再度、拡大する可能性が高まっている。今年(2020年)、4月に発令された緊急事態宣言によって経済は大きな打撃を受けており、同様の措置が再度、実施された場合、経済への影響は計り知れない。給付金など一時的措置で延命を続けてきた企業も多く、感染拡大で消費者の動きが鈍れば、外出自粛の有無にかかわらず倒産が増えることも予想される。年末から春先にかけて政府と企業は難しい対応を迫られるだろう。
政府は急遽Go Toキャンペーンを見直し
国内の感染者数は、今年8月以降、減少傾向が続いていたが、11月に入って感染者数の顕著な増加が観察されるようになった。11月後半における1日あたりの新規感染者数は移動平均で2000人を超えており、8月のピークをはるかに上回っている。
感染症の一般論として、一旦、感染が拡大すると、外出自粛やロックダウン、移動制限といった措置を実施しない限り、しばらくの間、増加トレンドが続く可能性が高い。このままのペースで行けば、年末から年始にかけてさらに多くの感染者が出てくるのはほぼ確実といってよいだろう。
政府は経済の回復を目指し、消費を喚起するGo Toキャンペーンを実施してきた。当初、政府はキャンペーンの見直しに慎重なスタンスだったが、11月20日に行われた専門家による分科会が運用見直しを強く求めたことから、翌21日には制度の運用を見直す方針を明らかにした。感染拡大地域を目的地とする新規の旅行予約の停止や、食事券の新規発行停止といった措置が実施されるので、感染状況次第では、事実上、キャンペーンが止まる可能性も出てきたといってよいだろう。