GoToトラベルによって観光地は賑わいを見せているが・・・(写真:Nicolas Datiche/アフロ)

コロナで生まれた新しい景気循環

 コロナ禍後の感染動向と個人消費の関係を見ると、両者が相互に影響し合う新しい景気サイクルが生まれているといってよいでしょう。「感染増→自粛→感染減→自粛緩和→感染増→…」というサイクルです。感染が増加すれば、政府が営業縮小や行動自粛を要請、企業がそれに応じて営業縮小や従業員の行動自粛を図り、家計の自粛ムードに作用します。感染が減少すれば逆の動きとなるため、このサイクルが生まれていると考えられます。

 新規感染者数のピークは「第1波」が4月上旬、「第2波」が8月上旬でした。11月に入ってからは、「第3波」が進行しています。感染動向と個人消費のサイクルが安定的か否かは不明ですが、仮に4カ月周期であれば、新規感染者数の増加は12月上旬頃まで続きそうです。無論、冬は他の季節よりも感染が拡大しやすいと考えられ、新規感染者数の拡大が長引く可能性もあります。

 懸念材料は重症者数の動向です。重症者数は新規感染者数の変動に数週間ほど遅行する特徴があります。重症者数は既に「第1波」や「第2波」のピークを超えていますが、しばらく増加が続きそうです。12月に向けて医療機関の病床逼迫が大きな問題となりそうです。