米大統領選まで1週間を切った。前回の大統領選では下馬評を覆してトランプ大統領がヒラリー・クリントン候補を破った。各種世論調査でバイデン候補がリードしているが、そのまま逃げ切るのだろうか。「中国切腹日本介錯論」を唱える岩田太郎氏が斬る(1回目はこちら)。
「テヘペロ」で済む問題ではない犯罪厳罰化
(岩田太郎:在米ジャーナリスト)
民主党のバイデン大統領候補は10月22日の第2回大統領候補討論会で、トランプ大統領に「あなたは1994年の上院議員時代に犯罪を厳しく取り締まる法案の成立に携わり、黒人を『スーパープレデター=略奪者』と呼んで彼らを苦しめた」と攻め込まれた。民主党支持者である黒人女性司会者のクリステン・ウェルカー氏からも、「かつてあなたが提案した法案で、黒人の若者はわずかな薬物を所持しているだけで刑務所に入れられ、その影響で家族は今も苦しんでいる」とダメ押しをされた。
これに対し、バイデン候補は「間違っていた。刑務所に送るのではなく、治療を受けさせるべきだ」と答え、トランプ氏の目に余る人種差別的言動を批判することで話を逸らすことに精一杯であった。
だが、これはバイデン氏が行ったような「テヘペロの対応」で済む問題ではない。民主党の本質や正義、正統性にかかわる問題であるからだ。