生産性の上がらない会議が組織では横行している(写真:CavanImages/イメージマート)

(園部 浩司:プロファシリテーター)

会議に“白熱の議論”は不要

 日本人は議論が下手だと言われます。国会中継を見れば、ヤジが飛び交い、およそ生産性の感じられない意見が飛び交っている場面がしばしば映し出されています。テレビの討論番組でも、人が話しているのに割って入って自分の意見を述べるようなことが朝まで繰り広げられています。これらのおよそ建設的とはいえないディスカッション・スタイルが、いつしか「会議」の在り方としてインプットされている人は少なくないのではないでしょうか。

国会における論戦はいわゆる一般的な会議とは別物(写真:アフロ)

 しかし、ここで、はっきりお伝えしておきます。会議に、白熱するような議論は不要です。「実のある会議ほど、ヒートアップするものだ」と思い込んでいる人がいますが、大きな勘違いです。 “自分の意見の正しさ”を主張し合ったり、結論の勝ち負けや正誤に話がすり替わったりと、建設的な議論からはどんどん離れていきます。それぞれの政党理念が異なる国会や、テレビ番組で存在感を示さなければならないパネリストが意見を出し合う討論番組と、通常の企業や組織で行われる「会議」は別物です。実際の会議では、建設的な議論をして、結論を出さないと、ビジネスやプロジェクトが前に進まず、生産性が上がらないのです。

 私は、日本では数少ないプロファシリテーターとして、これまで6600人以上のビジネスパーソンとのセミナーや研修などを通して、年間1000本以上の会議を仕切り、会議における様々な課題と向き合ってきました。いわゆる良い会議=生産性がある会議の条件には、「時間通りに終わる」「意見が出る」「テーマが明確」といろいろありますが、なかでも重要なのは「結論が出る」会議だと私は思います。本稿では、ファシリテーターがどうやって「結論が出る」会議をリードするかをご説明していきます。