ミシガン州での選挙集会で演説するトランプ大統領(2020年10月17日、写真:AP/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 テレビではこのところ連日、米大統領選挙が取り上げられ、民主党のバイデン氏が有利とかトランプ大統領が猛追とか、かしましく報道されている。“米大統領選挙通”なる人も専門家として登場している。

 確かに世界の超大国であるアメリカの大統領が誰になるかは、世界の関心事であることに間違いない。特に同盟国である日本が大きな関心を寄せるのも当然だ。だが今回の大統領選は、あまりの程度の低さに正直言ってうんざりしてしまう。

「彼はプロの嘘つき」とマイケル・ムーア氏

 トランプ氏ほど平気で嘘をつく大統領を私は知らない。新型コロナウイルスが蔓延し始めた頃、同氏は「アメリカでは完全にコントロールされている」と語った。もちろん何の根拠も示さなかった。民主党のバイデン氏は、「『心配するな、(新型コロナは)夏が来て暑くなれば、奇跡のように消え去る』と、トランプ大統領はまだそんなことを言っている」と批判した。「夏が来れば消え去る」というのも何の根拠ないものだった。その結果、アメリカを世界最大の感染国にしてしまった。あげくに自分自身や妻、子供も感染してしまった。ホワイトハウスでクラスターまで発生したのだから、世話はない。