安倍首相の潰瘍性大腸炎は全国に20万人

 さて、便の注意点は色々あります。形、硬さ、量、回数などです。この中で特に大事なポイントは、「血がついていないかどうか」です。たとえば、大腸の中にがんやポリープがあると、その横を便が通過するときに、擦れて出血することがあるからです。大腸がん検診として用いられる「便潜血検査」も、便の中に血が混じっていないかどうかをチェックしています。
 
 がん以外にも、安倍総理が罹患していることで有名になった「潰瘍性大腸炎」は、免疫機能のトラブルによって大腸に炎症が起きる国の指定難病です。こちらも症状が重くなれば出血し、便に血が付きます。潰瘍性大腸炎は全国に20万人以上も患者がおり、決して珍しい病気ではありません。

 便やトイレットペーパーに血が付くという人は、「痔のせいかもしれない」などと自己判断せずに、きちんと医療機関を受診するようにしましょう。

 がんや潰瘍性大腸炎があるわけではないのに、しょっちゅう起こる「腹痛」「下痢」「便秘」に苦しんでいる人が、実は世の中にたくさんいます。みなさんの中にも、「大事なプレゼンの前はお腹が痛くなる」「電車の中でお腹が痛くなったが、駅のトイレが使用中で苦しんだ」といった経験が一度や二度はあるのではないでしょうか?

 中には、「それが怖くて、電車や飛行機に乗れない」という人もいるほどです。こういったケースのほとんどは、「過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome 以下、IBS)」と考えられます。

 このIBSはどういう病気なのでしょうか? ごく簡単に言うと、「精神的なストレスが原因で、排便の異常が起きる病気」です。そこに、幼児期のトラウマ(虐待など)や、食事、生活習慣などもからみ合っていると考えられています。