中国人観光客がいなくなった東京・銀座

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 新型コロナウイルスの影響を受け、日本で生活する中国人留学生が不安な日々を送っている。北京出身のMさんは「春節明けに来日したとたんにコロナが流行し、ほとんど家にこもりきりです」と言い、江西省出身のSさんは「4月に都内の美大に入学しましたが、ずっとオンライン授業が続いています」と言う。2人とも、日本の桜も花火大会も夏祭りも、まだ見たことがない。

 上海出身のGさんは「知り合いの留学生はほとんど帰国しました」と語る。その中には、日本語の勉強に打ち込んでいたが日本での大学進学を断念した人や、単位取得に精を出しながら帰国の途についた大学院生もいる。

 帰国した友人たちを見て、彼らは誰もが「このまま日本に居続けて大丈夫なのだろうか」と感じている。慣れない土地で部屋に閉じこもり、明日が見えない日々を過ごしていると、おのずと「帰国したい」という気持ちが芽生えてくる。中国の親も、毎日のように通信アプリでメッセージを送ってきては「早く帰ってこい」と迫る。

帰国費用はチケット代の2~3倍

 Gさんは日々、安い航空券を探しているが、「高くてとても手が届かない」と漏らす。