テレワーク時は、これまで以上に「社外からの目線」を意識すべき

「会社というのは、自分達が気持ちよく働く“だけ”のためにあるのではない」という社員教育をできていない会社は、これから生き残っていくのは厳しい時代になると思います。あまりに社内の組織改善に固執や執着をしすぎると、「社内優先主義」になり、結果的に社外の対応や視点がおろそかになります。「社内満足度は上がるが、売上や利益は落とす」という結果を招かないためには、「バランス」が大切です。

 特にテレワークを取り入れている経営者や総務人事担当の方は、「社外からの目線」をこれから強く意識を持たれたほうが良いと思います。これまでは同じフロア内でビジネスマナーや応対が良くない社員を、直接気づいて注意できていたものが、テレワークでは「全く失われる」ことになります。テレワークの社員が、社外の人間とどのように接しているかが確認できなくなるのは、ある意味大きなリスクです。

 このようなリスクを避けるためには、「社内満足度」と同じくらいに、「社外満足度」を下げないルールや施策を改めて整備することだと思います。たとえば社外の方達や顧客などとリモートで打ち合わせや商談をする際、新入社員や業界未経験の中途採用者を一人で担当させずに、必ず上席者がペアになって出席するといったルールを作るのも良いでしょう。

 また、経営者や管理職の方などは、今までより時間を割いて、受注先、発注先問わず取引先に対し、自社の社員が失礼のない対応ができているか定期的なコミュニケーションをとったほうが良いと思います。総務人事担当者も、これまで「社内満足度の向上」に使っていた時間を「社外満足度の向上」に割き、「社外満足度を下げさせない」ために、どのような組織体系にすればよいか、という視点で組織を見直してはいかがでしょうか。

 取引先との関係性や応対が「売上・利益」を左右する、というのをしっかり社員教育していく。それが売上や利益を下げない組織作り、そしてコロナ禍でも生き残っていく会社の要素の一つであると思います。

著者プロフィール

流創株式会社 代表取締役 経営コンサルタント/作家 前田 康二郎

数社の民間企業で経理総務、IPO業務、中国での駐在業務などを経て独立。現在は「フリーランスの経理部長」としてコンサルタント活動を行うほか、企業の顧問、社外役員、日本語教師としての活動、ビジネス書やコラムの執筆なども行っている。著書は『AI経理 良い合理化 最悪の自動化』のほか、『スーパー経理部長が実践する50の習慣』、『職場がヤバい!不正に走る普通の人たち』、『伸びる会社の経理が大切にしたい50の習慣』『経営を強くする戦略経理(共著)』、『スピード経理で会社が儲かる』、『ムダな仕事をなくす数字をよむ技術』、『自分らしくはたらく手帳(共著)』など多数。節約アプリ『節約ウオッチ』(iOS版)も運営している。また、2020年6月26日に新著『つぶれない会社のリアルな経営経理戦略』が発売された。

 

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