各アセットクラスを代表するETFの「スター銘柄」を育成したい!
──なるほど。よくわかりました。専門業者が常にETF市場に参加して、注文を出し続けてくれるので流動性は心配ないと。それで、19年4月からは、マーケットメイク制度Ver2.0を導入したようですが、これはどのような狙いですか?
永井 マーケットメイク制度の導入によって、もともと個人投資家のニーズが高かった高配当モノのETFをはじめ、いくつかのカテゴリーで売買代金が増加するなど一定の効果が見られました。現在、東証のマーケットメイク制度の対象は、ETF全体の半数以上となる125銘柄をカバーしています(マーケットメイク対象ETF一覧はこちらから)。
しかし、一定の効果が見られたとはいえ、ETF発祥の米国と比べるとまだまだ日本のETFの市場規模・流動性はまだまだ小さいといわざるを得ません。そこで次なるステップとして、ETF市場のさらなる活性化をするべく、日本でも各アセットクラスを代表するようなETFを育成することを目指しました。これを実現するために導入したのがマーケットメイク制度Ver2.0です。
機動的に売買ができ、コストが低いというETFの特徴・メリットは、個人の投資家よりも、むしろプロの投資家である機関投資家の間で広く知られていました。そこでETF市場の活性化には、機関投資家による更なるETF活用が必須と考え、制度構築にあたり、多くの機関投資家を訪問し、ヒアリングをしてきましたが、一番多く聞かれたのが「ETFをもっと活用していきたい気持ちがある、そのためには、さらなるサイズが欲しい」といった声でした。
こうしたニーズを踏まえて、一部の銘柄を対象に、追加的な気配義務とインセンティブを設定しました。といっても、ちょっと難しいですよね……。
──一部の銘柄に関しては、流動性をさらに高める工夫をした、ということでしょうか。
永井 そうです。既存のマーケットメイク制度を維持したまま、マーケットメイカーさんに対し、特定の銘柄で、5000万円~10億円相当の注文の常時提示を求めています。以前のマーケットメイク制度では、義務付けられた注文は500~3000万円程度でしたので、これとの比較で、格段に大きな注文が入り、流動性はより向上することに繋がります。