スマートシティや自動運転車など、人工知能を自社の製品やサービスに組み込む動きは加速している。写真はNTTとスマートシティ分野で業務提携したトヨタ自動車の豊田章男社長(写真:つのだよしお/アフロ)

(木村 優志:Convergence Lab.株式会社 代表取締役CEO)

立ち上がっては消える企業のAIプロジェクト

 企業のAI(人工知能)にかける期待は大きく、「AIベンチャー」という呼び方もよく見るようになった。トヨタやファナックなど、大手企業との提携を次々に発表してきたプリファード・ネットワークスは、新聞記事でもお馴染みだろう。

 企業がAIベンチャーと組む事例は多い。企業同士をマッチングさせる「Creww」や「AUBA」といったサービスでも、多くのAIベンチャーと事業会社が組んだ事例を報告している。ディープラーニング(深層学習)をはじめとしたAIが今日のように注目されるとは、長年研究や開発に携わってきた筆者も予想していなかった。

 しかし、こうしたAIベンチャーに飛び込んでくる開発プロジェクトはほとんどが失敗する。注目が集まるほど、誤った認識を持ったままAI開発に乗り出す人も多いようだ。華々しい事例が報告されている一方で、その何倍もの失敗が表沙汰になることなく立ち上がっては消えている。ITの開発依頼に慣れた人でも、AIのプロジェクトで成果を出すのは簡単ではない。結論から言えば、AI開発は外注が向いていないのだ。