不動産会社の倒産をどう乗り切ったのか

 自身の場合は、購入して3年目から入居者の出入りがありましたが、サブリースでしたので何とか乗り切ることができました。ところが、とある大事件が発生してしまい、どん底を見ることになります。2007年~2008年に起こった、サブプライムローン問題からのリーマン・ショックです。最悪なことに、ハウスメーカーが倒産に陥ってしまったのです。まさかの出来事でした。

 管理会社が機能しなくなってしまったので、当然サブリースどころではありません。購入して3年目でまさかの事態。どうする?このまま途方に暮れるしかないのか?と思いきや、全室満室ということもあり、新たな管理会社をすぐに見つけることができました。
 管理費を家賃の5%として、アパートの運営を管理会社に委託することにしました。ただ、新しい契約ではサブリースはできませんでした。
 契約内容が変わったことで、消防設備点検、日常清掃費用として経費が別途増えてしまい、合計の経費は家賃収入の約7%となりました。

 この時痛感したのが立地の大切さでした。不動産投資の専門家の中には「安い物件でも利回り重視で行けば利益は出る」と言われる方もいますが、これも良い立地条件があってのこと。一棟アパート投資は入居者ベースで考えなければ、利益は出ません。くれぐれも、ここは十分に注意してください。

 このようにリーマン・ショックの影響もあって、自己資金の回収が当初の予測だった12年よりも2年多くかかりましたが、ようやく収支がプラスに転じているところです。この資金を、これから掛かってくる修繕費に備えたいと思います。

不動産投資の事業計画は「慎重さ」が大切

 サブリースであれ一般の物件であれ、一棟アパート投資には思いがけないリスクが潜んでいます。そのリスクを念頭に置きながら、事業計画を考えることが大切です。
 一棟アパート投資の事業計画でぜひ押さえていただきたいポイントは、以下の3つです。

  1. 事業収支計画の家賃収入は必ず、最低でも10%減として計画しておく
  2. 減価償却費以外の経費は最低でも10%増で見ておく
  3. 借入金は、金利見直しはオッケーだが、経費の支払いを考えて、一括返済はダメ

 お金の使い道は、これからもいろいろと出てきます。収入は少なめに見積もり、出費は多めに見積もる。手元資金を残しておくことも大切。何事も慎重に進めましょう。

 私の場合、管理会社が途中で変わり、物件の管理体制がサブリースから普通委託になったことで、これまで以上にアパート経営と向き合うことになり、毎月のように物件に足を運ぶようになりました。サブリース=業者任せから、自助努力による経営に変わった結果、周りの環境変化などを注意深く観察するようになり、「次にできること」を考えていけるようになりました。
 私が幸運だったのは、東京近郊の区分所有マンションの経営で利益が出ていたことです。区分マンション投資の成功によって心にゆとりを持てたことで、リーマン・ショックで不動産会社が倒産したときも、危機と向き合うことができました。

 初めて投資用不動産を購入する方は、いきなり一棟アパートを選ぶのではなく、まずは少額の中古ワンルームマンションなどから始めて、心のゆとりを持てるようにしましょう。

 次回は、私の失敗談を中心に話をしていきます。