米ウォルマート店頭のロゴ。カルフォルニア(写真:ロイター/アフロ)

 米小売大手ウォルマートが近く米アマゾン・ドット・コム対抗の有料会員サービスを始めると、米メディアのリコードや米経済ニュースのCNBCなどが報じた。

ECに注力、売上高37%増を達成

 「ウォルマート+(プラス)」と呼ぶ年額98ドル(約1万500円)のサービスを7月中にも開始する計画だと関係者は話している。

 サービスの内容は、食料品や日用品の当日配送、自社運営ガソリンスタンドでの割引、セール品の優先購入など。また、限定的だが、同社が最近始めた2時間配送の「エクスプレス」サービスも提供する見通しだとリコードは伝えている。

 ウォルマートは近年、EC(電子商取引)に力を入れている。昨年のオンライン販売の売上高は前年比37%増となり、目標としていた35%増を上回った。また、新型コロナウイルスの感染拡大で需要が高まった今年2~4月期は、前年同期比74%増を達成した。

技術分野のベテランを起用

 ウォルマートは昨年5月、数多くのテクノロジー企業で幹部を務めてきたスレーシュ・クマール氏を最高技術責任者(CTO)兼最高開発責任者(CDO)に任命した。米グーグルで広告事業のバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めていた人物で、それ以前は、米マイクロソフトでクラウド部門のバイスプレジデントを務めた。また、米アマゾンに15年在籍し、小売システム・サービス技術部門バイスプレジデントなど、さまざまな幹部職を歴任した。

 昨年9月には「デリバリー・アンリミテッド」と呼ぶ生鮮食品配達の会員プログラムを全米200都市の1600店舗以上に拡大すると明らかにした

 こちらは月12.95ドル(約1400円)、または年98ドル(約1万500円)の会費を払うと追加料金なしの配達サービスを無制限で利用できるというもので、アマゾンのプライム会員限定食料品ネット販売「Amazon Fresh」に対抗している。

 一方で、アマゾンは昨年10月、米国で、それまで月額14.99ドル(約1600円)だったAmazon Freshの会費を廃止。年額119ドル(約1万2800円)のプライム会費だけで利用できるようにするなど、EC分野で両社の競争が激化している。

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