定時定額投資はどんな投資商品? 定時定量投資は?

 定時定額投資(プランA)および定時定量投資(プランB)ともに、積立投資です。本稿では比較を行いやすくするために、どちらも投資信託でシミュレーションを行いました。
 投資信託による積立投資の仕組みは、定時定額投資に当たります。

 そして、プランBでお示しした定時定量投資は、実は平準払い(=月払いor年払い)の外貨建て生命保険などが該当します。もっとも、外貨建て生命保険は通貨が外貨というだけで生命保険であり、「投資」という表現は語弊があるのですが。
 とはいえ、外貨建て生命保険を利殖目的で契約する方もいらっしゃるそうですから、「投資」という表現も、当たらずとも遠からずといえるのではないでしょうか?

 この定時定量投資の仕組みがある外貨建て生命保険をもって、「積立投資の効果が十分に得られる」と考えていらっしゃるとしたら、それは「積立投資への誤解」かもしれません。積立投資の実力がより発揮されやすいのが、投資信託の積立投資のような定時定額投資だからです。

外貨建て生命保険は定時定量投資?

 外貨建て生命保険は先述の通り、通貨が外貨、つまり払い込む保険料や、解約した時に受け取る解約返戻金、そして保険事故が起きた時の保険金の全てが外貨という生命保険です。
 外貨建て生命保険も生命保険ですから、(投資信託とは異なり)将来の見積もりを作ることができますが、その見積もりも全て外貨です。なので、外貨建て生命保険では、日本円での払い込み金額や受け取り額は、将来の為替しだいです。

 ところで、外貨建て生命保険で払い込む保険料はずっと定額ですが、それはあくまで「外貨で定額」ということです。
 外貨建て生命保険の保険料は、日本円で払い込むこともできます。日本円の銀行口座から日本円で引き落とされて、それを保険会社が外貨に換え、保険料に充てるのです。
 毎月の保険料が100ドルとすると、1ドル=100円ならば日本円では1万円、1ドル=110円なら1万1000円というように、為替レートによって日本円での金額は変化します。したがって、外貨建て生命保険の保険料として引き落とされる日本円(=つまり通帳に記帳される引き落とし額)は、毎月異なります。為替しだいだからです。

 このように考えると、外貨の保険料は、投資信託の定時定額投資における「投資信託の取得口数」とよく似ていることに気付きます。
外貨建て生命保険は定時定額投資の商品ではありますが、為替を考慮すれば、定時定量投資と類似しているともいえるかもしれません。

まとめに代えて
 投資信託と外貨建て生命保険は、リスクも目的もそれぞれ異なりますから、単純な比較はできません。が、先ほども述べましたが、利殖目的で外貨建て生命保険を検討される方もいらっしゃるようです。利殖の手段として、生命保険だけでなく、投資信託の積み立てを加えることを検討してみてはいかがでしょうか?
 ところで、なぜ、本稿では外貨建て生命保険を取り上げたのか? なぜ本稿のタイトルを「積立投資への誤解」としたのでしょうか?
 それは、筆者がかつて受講した外貨建て生命保険のセミナーで、「外貨建て生命保険こそが、ドルコスト平均法の原点です」という趣旨の説明を受けたからです。
 外貨建て生命保険の「外貨」といえば、もちろん「ドル」もあります。なるほど、ドル建ての生命保険だからドルコスト平均法……。これは違うのではないでしょうか?
 ドルコスト平均法の「コスト」とは投資の元本、つまり投資額を意味し、平均法とは(筆者の主張する)損益分岐点の引き下げを意味すると理解しています。
 外貨建て生命保険が果たして「ドルコスト平均法」に当たるのかというと、実は、筆者はやや無理があるのではと考えています。積立投資には変わりないと思いますが。
 本稿の中盤でも述べましたが、最初の表のシミュレーションでは、定時定額投資および定時定量投資、そのどちらもがプラスパフォーマンスの結果になっています。なので、定時定量投資を否定するつもりはありません。
 「投資信託はイヤだけど、外貨建て生命保険や変額保険なら良い」という方、実は意外と多いのではないでしょうか? 「投資」と聞くと抵抗してしまうけれど、「保険」なら安心できるという方も、投資信託を食わず嫌いせず、投資信託の積立投資を選択肢のひとつとして検討していただく価値はあると思います。