定時定額投資と定時定量投資

 プランAは、前稿や前々稿でもご覧いただいた「定時定額投資」です。

 その2 積立投資の目的は損益分岐点の引き下げ

 定時とは「毎月、決まった時期」(=本稿では毎月末)に、定額とは「毎月、決まった金額」(=本稿では毎月1万円)ずつ、積立投資を行っていくというものです。

 このプランAに対し、プランBの方は「定時定量投資」です。
 定時は同じく「毎月、決まった時期」(=本稿では毎月末)ですが、定量とは「毎月、決まった口数」(=本稿では毎月1万口)ずつ、積立投資を行っていくというものです。

 プランAの定時定額投資と、プランBの定時定量投資。それぞれの積立投資のイメージは以下の表の通りです(抜粋した投資日には特に意味はありません)。

投資日
(積立日)
プランA プランB
投資額(円) 基準価額(円) 取得口数(口) 投資額(円) 基準価額(円) 取得口数(口)
2018/9/28 10,000 16,755 5,968 16,755 16,755 10,000
2018/10/31 10,000 15,228 6,567 15,228 15,228 10,000
2018/11/30 10,000 15,521 6,443 15,521 15,521 10,000
2018/12/28 10,000 13,917 7,185 13,917 13,917 10,000
2019/1/31 10,000 14,433 6,929 14,433 14,433 10,000
2019/2/28 10,000 14,860 6,729 14,860 14,860 10,000
2019/3/29 10,000 14,843 6,737 14,843 14,843 10,000
2019/4/26 10,000 15,577 6,420 15,577 15,577 10,000

 プランAは、投資額はずっと1万円で変わりませんが、基準価額の変化によって1万円で買える口数が変わるので、取得口数はバラバラです。
 一方のプランBは、取得口数はずっと1万口で変わりませんが、1万口当たりの金額を示す基準価額は日々変化するので、投資額はバラバラです。
プランAもプランBも、ともに同じ投資信託ですので、基準価額は同じです。

プランA=定時定額投資の方が……

 どちらも同じ積立投資なのですが、定時定額投資のプランAの方がパフォーマンスが良い、つまり効率の良い投資だと筆者は判断しています。
 最初の表の「③基準価額の平均」が同じなのは、プランAとプランBは同じ投資信託ですから当たり前なのですが、「②投資額の合計」はプランAの方がプランBより15,322円上回っていますので、③と②だけを比較すると、プランAの方が投資の効率が悪いように見えます。

 しかし、「⑤損益分岐点」ではプランBに比べて、プランAの方が1,374円下回っています(積み立て投資における損益分岐点については前々稿を参照してください。ひと言で申し上げるなら、「ある時点の基準価額が損益分岐点を1円でも上回ればプラスになり、同じく1円でも下回ればマイナスのパフォーマンス」という意味です)。
 「損益分岐点は少しでも低い方が換金(=解約)のタイミングが広がる」というのが、筆者の積立投資に対する考え方です。(もし、筆者の損益分岐点に対する考え方にご賛同いただければ)プランAの定時定額投資の方が、投資の効率が良いと言えるのではないでしょうか?

 そして、プランA=定時定額投資の効果の程が覿面てきめんに表れているのが「⑧投資額の合計に対するパフォーマンス」です。
 プランA、プランBともにプラスのパフォーマンスですから、どちらも元本割れはなく、ともに目出度しめでたしな結果と言えます。しかし、⑧投資額の合計に対するパフォーマンスはプランBに比べ、プランAの方が413,805円も上回っています。やはりプランAの方が効率が良いといえるのではないでしょうか?