これらの輸入品は、国内需要に依存するので、輸出とは無関係に推移する。結果として輸出が減っても、輸入は同じ割合では減少しないので、輸出が減ると貿易収支が赤字になりやすくなる。2020年3月の貿易収支は72億円の黒字だったが、4月は9318億円の赤字、5月は8834億円の赤字と貿易収支が急激に悪化したことが分かる。

 国内では緊急事態宣言が解除されたことを受けて経済活動が徐々に回復しており、諸外国でも経済活動の再開が進んでいる。しかしながら、感染が再拡大しなかった場合でも、貿易については完全に元には戻らないと予想する声が多い。その理由は、各社がサプライチェーン網の再検討を行っているからである。

 これまでは、1円でも安いモノを求めて、全世界から物資を調達するというのが半ば常識となっており、各社は巨大なサプライチェーン網を構築していた。だが、今回のコロナ危機で、こうしたサプライチェーンの寸断が相次ぎ、各社は肥大化したサプライチェーンをリスクと見なすようになった。

 国際的な役割分断をなくすことはできないので、グローバルな貿易は継続されるだろうが、必要に応じて近隣もしくは自国からの調達に切り換えるという選択的サプライチェーン縮小が進められる可能性が高い。そうなると、必然的に輸出は停滞することになる。