リートでは足元の賃料収入が減少する可能性

 リートに関しては、保有しているビルのテナント休業などにより家賃支払いが厳しい企業が出てきていますので、足元の賃料収入が減少する可能性があります。

 将来的には在宅勤務の増加によるオフィス需要の減少や(ソーシャルディスタンスを保つために出勤する人が減ってもオフィススペースは変わらないという意見もあり)、ネットショッピングの増加により商業施設が減少していく可能性もあります。

 逆にネットショッピングの増加により物流施設の需要は増え、今までの用途別比率(オフィス、商業施設、住宅、物流施設など)が大きく変わるかもしれません。

J-REIT保有不動産の用途別比率(2020年4月末時点)
J-REIT保有不動産の用途別比率(2020年4月末時点)出所:不動産証券化協会 注:取得価格ベース
債券の利子収入はさらに減るかもしれない

 債券に関しては、新型コロナウイルスの感染拡大以前から各国の中央銀行が景気を刺激するために低金利(ゼロ金利・マイナス金利)政策を行っていました。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により現在は国の財政支出が急激に増加し、それを国債で賄っています。本来なら国債の発行が増えれば金利が上昇しますが、各国の中央銀行が最終的に購入することで金利を低い状態に抑えこんでいるため、さらに利子収入が減る可能性があります。

 また、将来的には大量に発行した国債を償還できるかどうか、つまり債券を買った人に国が額面通りのお金を返せるかどうかといった信用リスクについても目配せしておきましょう

長期の資産運用では、複数のシナリオを検討しておく

 現在の経済状況からみますと、インカムゲインは今後減少していくことが考えられます。

 新型コロナウイルスのワクチンや特効薬が普及した後の働き方や生活スタイルが、オンラインを中心にソーシャルディスタンスを守ったものになるのか、ある程度感染拡大前の生活に戻るのかなど、どの方向にワークスタイルやライフスタイルが変化していくかは予想がつきません

 長期の資産運用を考える上で、複数のシナリオを検討しておくことが必要といえます。