(北村 淳:軍事社会学者)
かねてより日本政府が国防政策の根幹の1つと位置づけてきている弾道ミサイル防衛戦力整備計画が、国会における慎重な議論など全くなしに、国防大臣による一存のような形で大幅に変更されることになった(シビリアンコントロールの原則では国防方針の最終決定は国会の仕事である)。
イージス・アショア弾道ミサイル防衛システムの、突然の陸上自衛隊新屋演習場(秋田県)と陸上自衛隊むつみ演習場(山口県)への配備停止である。
必要性に基づいた調達ではなかった
秋田県や地元住民に対する安全性に関する説明段階で、防衛省側は「信じられないほど弛緩しきった」態度を示していたため、秋田県側の猛反発を受けるに至った。そして、山口県や地元住民に対して説明していた安全性も実現困難であることがこのほど明らかになった。