石炭をエネルギー元とした蒸気機関の普及は世界の様相を一変させた。それと同じようなことが今、起きようとしている

 新型コロナウイルス感染症による世界的な財政赤字が国債発行の限界を招き、そこから21世紀型の大恐慌をもたらす可能性については、これまで説明してきた。

(「新型コロナ禍がもたらす戦後最大の経済危機に備えよ」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60109

(「21世紀型世界大恐慌の足音が聞こえる」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60311

 1929年の米国発の大恐慌は第2次大戦の遠因となり、終結した1945年以降の世界経済システムは、それ以前と全く異なるものになった。

 今回のコロナに端を発して、特に米国を発火点とする21世紀型の大恐慌に発展してしまった場合には、20世紀の大恐慌と同様に世界経済システムは元には戻れない。

 なぜならば、20世紀の大恐慌はそれまでの世界経済システムの限界によってもたらされたのであり、今回もコロナをきっかけとして現在の世界システムの限界が露呈され、新しい人類の生態系としての世界経済システムが構築されるようになるからだ。

 地球の歴史を見れば、新しい生態系が生まれる前には古い生態系の絶滅が起きている。

 それと同じように、20世紀型経済という古い生態系が21世紀型世界経済システムに取って代わられようとしているのだ。

 その最大の特徴は、持続不可能経済から持続可能経済、いわば「サスティナビリティ経済」への転換である。その中心になるのは何だろうか?

 20世紀の大恐慌は米国の株式市場から発生し、金融システム、不動産、企業へと伝播し、空前の失業と社会不安を巻き起こした。

 しかし、米国の大恐慌が世界に広がったのは、その当時の世界経済システムが植民地支配やブロック経済といった古い生態系をもち、また株式市場や金融システムのリスクが経済全体に広がるのを防げないという問題もあったからだ。