人影のない沼津港

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 日本が、失われたインバウンド消費を取り戻すまでの道のりは遠い。そんな今だからこそ大切にしたいのが地元の消費だ。

 静岡県の駿河湾に面した沼津港を訪れた。静岡県で2位の漁獲量を誇る漁港で、新型コロナ禍の前は鮮魚を目当てに大勢の観光客が訪れていた。だが、緊急事態宣言が出たことで観光客は姿を消し、宣言が解除されてもなお人影はまばらだ。

沼津港を訪れるのは日本人観光客

 筆者は、昭和41年に創業したというある飲食店に入った。席についたのは午後2時頃、遅い昼食だったが、どのテーブルも埋まり、みんな食事を楽しんでいた。ほとんどが店の人とは顔見知りらしく、地元客のようだった。