この原稿を書いている6月4日時点で、岩手県における新型コロナウイルス感染者はゼロ。テレビや新聞で目にする感染者の人数に応じて色分けしている日本地図において、岩手県だけがまっ白で表示されているのはあきらかに目立ちます。
何か要因があるに違いないということで、マスコミでも「岩手」が取り上げられていますが、さらにアメリカまでも注目している、というではありませんか。「感染者ゼロ“岩手の奇跡”、米メディアも特集…地理的要因や東日本大震災などに注目」(2020年5月17日、ENCOUNT)
これによるとウォール・ストリート・ジャーナルが、「日本のこの地方にはコロナウイルスが存在しない」という見出しで岩手県の現状をリポートしており、その理由について奥羽山脈や北上高地といった「自然の障壁」という「地理的要因」を挙げつつも、はっきりとは解明していない、と伝えているとのこと。
大谷、菊池でIWATEが注目を浴びたはずなのに
誇らしい気持ちもあるとはいえ、岩手県民としては複雑な心境です。
というのは、コロナ禍がなければ、シーズンインしたメジャーリーグを舞台に、二刀流復活の大谷翔平選手(奥州市出身)とパワーアップした菊池雄星選手(盛岡市出身)が活躍することで、「IWATE」が注目を浴びている予定だったからです。
「メジャーが注目する“岩手と剛速球”の秘密」(2019年4月18日、プレジデントオンライン)では、2019年のU-18日本代表合宿に、当時の大船渡高校・佐々木朗希選手(現・千葉ロッテマリーンズ/陸前高田市出身)を目当てにメジャー数球団が視察に訪れた様子が伝えられています。
『そして彼らの関心は岩手県に向かったという。「大谷が出て、菊池が出て、今度は佐々木か。彼らを輩出した日本の岩手という土地はすごいところだ」とまるで金鉱鉱山を見つけたように「IWATE」を探求しようとする人がでてきたというのだ』