5月14日に公表された「大阪モデル」は、第一段階に入るスタート地点は「国の緊急事態宣言下」との前提だ。国の宣言解除に先立って緩和を進めることが目的で、宣言解除されれば原則すべて解除、との設計だ。

 現にその後、大阪は5月21日に国の宣言解除がなされ、飲食店の時間制限などは解除された。府県を超えた移動などは国がまだ自粛を求めているため、5月29日まで一定の制限を続けているが、その後は原則解除、経済活動の本格再開に向かう見通しだ。

 これに対し、東京の「ロードマップ」は、スタート地点が「国の緊急事態宣言の解除」だ。5月25日に解除されれば、そこでようやく第一段階に入る。そこから2週間ずつかけて第三段階まで進み、第三段階でもなおカラオケなど一部業種は制限が継続する。このとおり進むなら、原則解除まで行き着くのは7月以降だ。

 つまり、大阪のゴールが、東京のスタート地点。「大阪モデル」は国より先に出口に向かおうとしたのに対し、国よりさらに遅らせるのが東京「ロードマップ」と言える。

欧米の出口戦略は別次元

 欧米と比べると、東京「ロードマップ」の特異さはより顕著だ。

 大阪と東京は差があるとはいえ、どちらも国の緊急事態宣言に基づき、「7日間で10万人あたり0.5人」がベースだ。

 これに対し、ニューヨーク州や欧州各国では、毎日数千人単位の新規感染者がいる段階で出口戦略に踏み込んだ。出口戦略を決定ないし公表する直前7日間の10万人あたりの感染者数をみると、ニューヨーク州は138.58人、スイス53.67人、イギリス50.83人など、「0.5人」とはおよそ次元が違う。まだ相当危うい状態で出口戦略をスタートし、段階的に緩和していくものだ。

 また、ドイツの場合は、9.59人とやや少なめだが、緩和をストップする「非常ブレーキ」の発動要件は「10万人あたり50人」。基準の桁は2つ違う。

 たとえて言えば、欧米の出口戦略は、危険な洞窟をなんとか抜け出すため、安全確認のステップを設定するものだ。これに対し、東京ロードマップは、洞窟を抜けた先にトンネルを作って入り直し、同じようにステップを設けて匍匐前進を続けようとしている印象だ。

【図3】出口戦略のスタートとゴール
<出典>
各国の感染者数・死亡者数 : https://ourworldindata.org/covid-cases
東京・大阪の感染者数・死亡者数 : https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
ニューヨーク州の感染者数 : https://coronavirus.health.ny.gov/home
ニューヨーク州の死亡者数 : https://usafacts.org/visualizations/coronavirus-covid-19-spread-map/
各国の緩和措置 : https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/senmonka_sidai_r020514.pdf
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