これらの一連の動きに対してベトナム政府は反発を強めて、強く抗議している。ベトナムの民衆も中国の態度にひどく憤慨している。それはベトナムだけではない。南シナ海に面するフィリピン、マレーシアも中国に対する不信感を強めている。

国際的な孤立を厭わない中国

 南シナ海でこのような行動をとりながら、中国は海外にマスクを援助したり医師団を派遣したりするなど、国際社会において感謝される国になろうとしている。しかしマスクの援助は、かえって世界の反感を呼んだようだ。それは、世界に感染が広がり始めた時期に中国政府がマスクを強権的に買い占めて、世界中でマスクが不足する状況を作り出したとの噂が広がったからだ。その真偽は分からないが、中国政府が世界に信頼されていない証左であろう。また、中国の医療水準を考える時、医師団の派遣に感謝するのは貧しいアフリカの国ぐらいだ。

 そんな中国は、世界が新型コロナに揺れている中でも南シナ海に対するこだわりを捨てていない。捨てないどころか、一層強化している。

 このような中国の一連の行動は不可思議である。それは南シナ海の島々の領有権を強硬に主張することは、東南アジア諸国の中国に対する不信感を増大させ、かつ「航行の自由作戦」(FONOP)を行う米国や英国の不快感を助長するだけだからだ。

 中国が経済発展を遂げる上で工業製品の輸出、海外からの投資、そして海外からの技術の導入は欠かせない。そうであるなら、経済発展するためには世界の国々、特に米国や日本、西欧の国々とは良好な関係を保っていかなければならない。国際的に孤立すれば輸出が難しくなり、海外からの投資も減少する。それは経済の低迷につながる。その結果として失業率が上昇すれば、治安問題が深刻化する。それは中国共産党が最も恐れていることである。

 その一方で、南シナ海の島々の領有は中国にとって核心的な利害とは言いかねる。多くの民衆は南シナ海の領有にそれほどの関心はない。その一方で、新型コロナ問題やそれが引き起こした経済の低迷は民衆にとって切実な問題になっている。

 そうであるのなら、この時期においては、南シナ海の問題をそっとしておくのが上策であろう。しかし、中国はベトナムなどを怒らせる行為を次々に行っている。