個別株の投資は今がまさに始めどき
──ここからは、個人投資家へのアドバイスを伺います。投資家は現状にどう向き合い、どのような行動をとるべきでしょうか?
エミンさん 個別株の投資を始めるには、これ以上ない良いタイミングだと思います。今後の下げ余地が大きくないと考えれば、今がまさに始めどきです。最高値で始めて失敗すると「二度とやりたくない」という悲しい結末になりかねませんが、“億り人”と呼ばれる人たちの多くはリーマン・ショック後に投資を始めています。
──個別株はどう選べばいいですか?
エミンさん 最も避けなければいけないリスクは倒産です。倒産リスクが低い企業は、他人資本(負債)が少なく自己資本(純資産)比率が高い、現金をたくさん持っているといった特徴があります。また、今回のコロナショックの影響を受けにくい内需企業に注目するといいでしょう。
あとは高値から何%安くなっているかを見ましょう。株価の割安度を測るPBR(株価純資産倍率)を確認するのも有効です。ただし、利益のぶれが大きい新興企業は業績への影響を判断しにくいところがあり、割安であっても注意が必要です。
まとめると、「昔から何度もこういう危機を乗り越えてきた、割安で質の高い内需企業」を選ぶのが無難ということになります。
──かくいう私も株式投資の初心者で、今回初めてNTTの株を買ってみました。どうでしょうか?
エミンさん 悪くないと思いますよ。これから5G(第5世代移動通信システム)の恩恵を受けられますし、テレワークの導入拡大などで通信需要はもっと高まっていくはずです。鉄板ですね(笑)。
──よかったです! 上級者向けのねらい目はありますか?
エミンさん 強い逆風にさらされている旅行、レジャー関連銘柄に注目するのは面白いと思います。今は外出自粛などで皆ストレスを溜めこんでいるので、コロナウイルスが収束すれば一気に消費が増えるでしょう。
ストレスが溜まれば溜まるほど、その反動は大きくなります。無事に生き延びればものすごい勢いで回復するでしょうから、例えば航空会社の株を逆張りで持っておくといった選択は悪くないと思っています。
ただし、ここから株価がさらに下がったり、資金繰りに行き詰まったりする可能性もあります。タイミングを図る必要もあるので初心者にはおすすめしません。
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相場には常にチャンスが満ちている
──エミンさんご自身の資産運用はどうされていますか?
エミンさん 私も日本の個別株を持っています。ただ、去年の夏くらいから景気の悪さを感じ、ポジションを5分の1くらいに縮小してきました。今はレバレッジも低めにしていますが、これからチャンスが来ると思っていますので、再びポジションを増やしていくつもりです。
──個人投資家にメッセージをお願いします。
エミンさん コロナショックのような予期せぬことが起こるのが相場で、ここを生き残ってこそ投資家と言えます。あまり精神的に追い詰められないよう、資金には余裕を持ち、まずは相場から退場しないことを心がけましょう。今の相場に身を投じることは貴重な経験にもなります。
相場には常にチャンスが満ちています。生き残りさえすれば機会は戻ってきます。私は、日本経済は必ず浮上すると常々言ってきました。日経平均株価は5年以内に4万5000円を達成すると見ています。史上最高値を超える歴史的節目に立ち会えるよう、ぜひ今の相場にも向き合っていただきたいと思います。