新型コロナウイルスの感染拡大により、株式市場は大きく揺れ動いています。「コロナショック」は過去の危機と比べてどこが違うのか。そして暴落した株価はこの先どうなるのか。エコノミストのエミン・ユルマズさんに聞きました。(取材:2020年4月1日)
史上最高値からの暴落はまれ
──新型コロナウイルスの感染拡大により、株式市場は大きく下落しました。現状をどうご覧になっていますか?
エミンさん 実は、2018年後半くらいから景気は悪かったんです。製造業を中心に景気指数などのデータが芳しくなく、先進国、新興国ともに景気後退局面にありました。2019年の秋口までそういう状況でしたが、ようやく底打ちの感があり、年末に向けて株価が上昇していきました。
中国も良くなってきて、いよいよ景気後退から脱する。本格的にV字回復していくはずだ。そんな矢先に起きたのが、今回のコロナショックです。市場で取引している人たちはこれから良くなるシナリオを織り込んでいたため、なおさらショックが大きくなってしまいました。
──リーマン・ショックでも株式市場は大きな下落を経験しました。当時との違いを教えてください。
エミンさん リーマン・ブラザーズが経営破綻した9月15日からの1カ月と、今回の2月中旬以降の1カ月は、すごく似ています。
【図表】リーマン・ショックとコロナショックの比較(ダウ平均)
出所:複眼経済塾
出所:複眼経済塾
でも、リーマン・ショックのときはショック以前から株価が下がり始めていました。1年前にサブプライム問題の発端となったBNPパリバショックがあり、高値から10%くらい下がっていたんです。
ある程度前触れがあったリーマン・ショックに対し、今回のコロナショックは史上最高値からの暴落となりました。こういうケースはまれです。下げ幅としてはリーマンに近いですが、性質はちょっと違うと思います。