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(篠原 信:農業研究者)

 ETV特集『緊急対談 パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~』が4月11日に放映され、世界的ベストセラー『サピエンス全史』の著者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏、経済学者・思想家のジャック・アタリ氏、政治学者のイアン・ブレマー氏らが、新型コロナ後の世界について持論を述べていた。共通するのは、「世界は変わる必要がある」という点だった。

 新型コロナはかなり長期化する様子。仮に患者数が一時的に減ったとしても、人の賑わいが戻れば第二波の流行が始まりかねない。人が集まることを禁じる規制は、かなり長く続くことになるだろう。

 ウイルス感染対策として第一に「人が集まる」ことを禁じられるため、これまでどおりの経済活動ができない。これまでは「いかに人が集まるか」を目指せば、お金も稼げた。人気の居酒屋、人気のレストラン、人気のスポーツジム、人気の旅館、人気の海外旅行・・・こうした産業はすべて、「人気」を経済活動の土台に据える。それができない以上、これまでの経済の仕組みの「思枠」(思考のフレームワーク)のままでは、立ちゆかない。

くらしに最低限必要な3要件

 思考実験してみる。根本的に考え直すため、あえてこれまでの経済システムのことは忘れる。「お金」のことも、これまでの働き方も何もかも。

 その上で、人類がなるべく健康に生きていくには何が必要か、ミニマム(最小限)に必要なことは何だろうか。

 食べ物がなければ人間は生きていけない。だから、世界中の人々を全員養えるだけの食料は生産されなければいけない。そして、食料が一人ひとりにきちんと分配されなければならない。もしそれが何らかの方法で達成できるなら、人類はとりあえず生きていける。