長期の資産運用なら積立投資を続ける
「個人投資家が今後取るべき行動」という質問に対しては、多くの方が「積立投資の継続」を勧めていました。
ポイントは、株価が下がったからといって一括で投資するのではなく、買う時期を分けること。今のように株価がどこまで下がるのか想像もつかず、不安にかられてしまう局面こそ、「毎月、同じ金額で同じ商品を淡々と買い続ける」という方法が手堅いのではないかというアドバイスです。
積立投資は最良の方法ではないかもしれないけれど、高値づかみを避けられる「ましな方法」だと語ってくれたのは、経済コラムニストの大江英樹さんです。「例えばドルコスト平均法は、高値から下落し始めるタイミングで始めるのが最も良いパフォーマンスが出るやり方ですので、今後調整が長引くということであれば、ここから積立投資を始めるのは良いだろうと思います」ということでした。
特に、教育資金や老後資金のために長期で資産運用を考えている方にとっては、積立投資の継続こそが大切だというアドバイスがありました。ファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さんは「変動の激しい相場では、『資産分散×時間分散×長期投資』というシンプルな法則を思い出してください。『続ける』ことが大事です」と述べています。
フィンウェル研究所代表の野尻哲史さんも、「もしまだ売却時期(退職後の引き出しが必要になる時期)まで長い年数があるなら、今は売却価格よりも積み立てていく際の購入価格を考えるステージのはずです」と語ります。
こんな時期だからこそ、資産の見直しも大切
株式、債券、REIT(不動産投資信託)などに幅広く分散投資をしている方は、新型コロナウイルスの影響で株価が大きく下がったために、それぞれの資産の比率が大きく変わってしまったと思われます。変わってしまった各資産の比率を元に戻す「リバランス」も有効だという指摘もありました。
ファイナンシャルプランナーの中桐啓貴さんは「債券を持っているのであれば、債券の比率が上がっていると思うので、債券を売って株を買うリバランスも有効」と語ってくれました。福田猛さんも「メンテナンスを丁寧に行うことで、株式相場が上昇した時に効果が出ます」と指摘しています。
大江英樹さんは「現金を保有すること」の大切さを語ってくれました。「いつも感じるのは、買いたいときに資金が枯渇してしまっていることです。ですから、今回に限らず、むしろ市場が好調な時から少しずつ現金保有の比率を高めていくことが大切だと思います」。
好景気のときには不景気への備えを、不景気のときには景気回復への備えをしておくことも、資産運用においては大切なのかもしれません。
アンケートを実施したのは3月2~6日頃。そこからわずか2週間で、世界経済の状況は大きく変わってしまいました。欧米のスーパーマーケットでは、マスクやトイレットペーパーどころか、食料品まで売り切れてしまう例も増えているようです。
「もはや資産運用どころではない」と言いたくなるようなたいへんな環境ですが、どのような状況でも頼りになるのはやはりお金です。現在の、そして未来の生活を守るために、できる限り冷静な判断で、この危機を乗り切りたいものです。