まとまった現金って、実際どのくらい必要?

 「じゃあ、私の場合、いくらあったら良いの?」という疑問をお持ちの読者も多数いらっしゃると思います。
 繰り返しになりますが、まとまった現金などは「必要」なのではなく、「あった方が良い」レベル感のものなのです。

 とは言え、先述の、いくつか挙げた例をご覧いただくと、「むしろ『必要』なのでは?」とお感じの読者もいらっしゃると思います。

 ポジティブな例は、行動や選択の幅を広げ、日々の暮らしを彩り豊かなものにしてくれます(特に定年退職後は、時間を持て余しますからね)。

 ネガティブな例では……確かに、公的な制度などを利用すれば、自己負担は大きくならないかもしれませんが……、「できるだけのことをしてあげたい」とおっしゃるお客様ばかりでした。語弊のある言い方をお許しいただくと、「(亡くなった後に)後悔の残らないように看取りたい」とも考えられます。

 「じゃあ、私の場合、いくら必要なの?」という疑問に対しては、「お一人おひとりで、異なります」という、定番の回答に留まります。
 ご家族様の構成や、ご家族様のお一人おひとりの状況によっても異なってきますし、皆さん、それぞれの価値観によっても異なります。
 そもそも、定年退職のご年齢や退職金の有無、まとまった現金等の有無によっても異なってきます。

 このようなお一人おひとり異なる疑問について、個別にお答えするのがファイナンシャルプランナーです。

 「退職金も、まとまった現金などもないんだけど」という読者もいらっしゃるでしょう。
 はい、「まとまった現金などを準備する」というご相談にお答えするのも、ファイナンシャルプランナーのお仕事の一つですが、それに関しては 今回の「ライフスタイル別&ライフプランニング別の投資」シリーズの後の方で述べてみたいと思います。

まとめに代えて
 冒頭に申し上げました通り、本稿では、急きょ予定を変更して、「『老後の準備は万全』という方に伝えたいお金の話」というタイトルで、定年退職時の「住宅ローンの繰り上げ完済」と、「定年退職を境に、まとまった現金などがあった方が良い」というお話をさせていただきました。
 さて、次回こそ、「(本稿でお話しした「まとまった現金など」の)お金の価値を維持する分散投資、その商品の選び方」をお伝えします。