北朝鮮から発射されたミサイルの画像をテレビで見るソウル市民(3月21日、写真:AP/アフロ)

 在韓米軍司令官エイブラムズ米陸軍大将は3月13日の記者会見で、「北朝鮮の朝鮮人民軍が約1カ月にわたって活動を停止していたが、ごく最近になって通常の訓練を始めた」と説明した。

 活動停止の原因が燃料不足なのか新型コロナウイルス禍なのかは不明だが、北朝鮮は満を持して3月2日から一連の短距離弾道ミサイル発射と砲撃訓練を開始した。

 29日にも弾道ミサイルとみられるものを2発発射した。これで今月は4回目となる。

 これらのミサイル発射や砲撃訓練には金秀吉軍総政治局長、朴正天軍総参謀長、金正寛人民武力相(国防相)の「軍三役」を従え、金正恩氏自らが現地指導をする入れ込みようだった。

 またその様子は、北朝鮮メディアが総力を挙げてPR(米国が主対象?)に努めた。

 金正恩氏のこれだけの入れ込みようから見て今回の一連のミサイル発射や砲撃訓練にはよほど重大なメッセージが込められているはずだ。

 筆者は、3月19日の「『ソウルを火の海に』は脅しではない」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59784)という稿で、金正恩氏の第1のメッセージを「北朝鮮はミサイル発射や砲撃訓練を見せつけることで、ソウルが人質に取られている現実を思い知らせ、米国・韓国の対北朝鮮攻撃を抑止することを狙っている」という趣旨のことを書いた。

 本稿ではさらに金正恩氏の「第2・第3のメッセージ」について読み解いてみたい。