日本政府は集団免疫戦略を採用している

 しかし今の日本の重症患者は46人で、新しい患者は減っている。実効再生産数は1程度なので、日本で医療が崩壊する可能性はまずないと考えていいだろう。

「一定の感染を容認する集団免疫戦略は非人道的だ」という批判が多いが、それ以外の道はあるのだろうか。今の自粛や休校をいつまで続けるのか。患者がゼロになるまでか。無期限に封じ込めを続けていると日本経済がボロボロになって、コロナの死者より多くの人が自殺するだろう。

 ヨーロッパの経済学者グループは、イギリス政府の報告書をもとにして「あらゆる経済政策を動員すべきだ」という緊急提言をまとめた。

 彼らが指摘するように、新型コロナの感染は一時的なものだが、その経済的な影響は長く続く可能性があり、感染の封じ込めで感染の山を低くすると、経済危機の谷は深くなる。日本政府はこのトレードオフを認識して、過剰な封じ込めをやめるべきだ。

 いま封じ込めても集団免疫が成り立つまで感染は広がるので、夏になって封じ込めをやめたら、また秋に感染が広がり、今年の冬にピークが来るかもしれない。そうすると医療が崩壊して、多くの死者が出る可能性もある。

 だから問題は患者をゼロにすることではなく、そのピークを病院の能力内に収めることだ。それが日本政府の専門家会議のとっている方針である。ここではコロナウイルスを完全に封じ込めることは想定しておらず、その感染を遅らせて時間を稼ぎ、医療体制を強化することになっている。

専門家会議資料より
拡大画像表示

 つまり日本政府は、実質的に集団免疫戦略をとっているのだ。こうして感染をコントロールできたことが「日本の奇蹟」の秘密である。ゆるやかに感染して医療の崩壊を防げば、死者は増えないのだ。

 こうして1年も時間を稼げば、コロナのワクチンや治療薬もできるだろうが、これを日本政府が公然と言うことはできない。イギリスのように批判が安倍首相に集中するからだ。

 しかし公言するかどうかは大した問題ではない。日本はすでにイギリスに先んじてピークカットする合理的な戦略を採用しているので、それにもとづいて自粛を解除し、ゆるやかに感染を拡大するときだ。

 急に解除すると感染が激増するリスクもあるので、まず無意味な一斉休校をやめ、野球などの野外イベントの自粛を解除してはどうだろうか。