台湾の次期副総裁に任命された頼清徳。医師であり感染症対策の専門家である(2017年9月8日撮影、写真:ロイター/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 本コラムでもしばしば取り上げたことがある中国人民解放軍の羅援少将(退役)が、台湾の蔡英文総統や頼清徳次期副総統など「台湾独立分子」を名指しで「戦争犯罪人に指定しろ」と強烈に批判した(“罗援将军:应将死硬“台独”分子列为战犯” )。

羅援が蔡政権を批判した理由

 世界中で新型コロナウイルスとの戦いが進行している状況においてわざわざ羅援が台湾指導部を痛烈に批判したのは、以下のような理由があるからと考えられる。

(1)台湾政府の新型コロナウイルス対策が、これまでのところ極めて順調に進展している。

(2)台湾政府の新型コロナウイルス対策は、アメリカをはじめとする多くの国から高い評価を受けている。

(3)新型コロナウイルス対策によって、台湾政府の危機管理能力が極めて優秀であることが明示された。

(4)蔡英文政権の危機管理能力とそのシステムは、中国側が予想していたよりもかなり強力であった。