(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
建国の父、ジョージ・ワシントンが初代の大統領なら、その所縁(ゆかり)の場所は、最初に新種の感染症に冒されるという、米国の奇妙な歴史がある。
新型コロナもO157もワシントン州から
新型コロナウイルスの感染拡大は、WHO(世界保健機関)がついに「パンデミック」(世界的感染爆発)を宣言するまでになり、いまでは感染増加の中心が、中国から欧州に移った。
米国では3月13日から、欧州26カ国(その後に2カ国を追加)からの入国を禁止している。
米国は国内でも、3月に入って感染者が急増。9日の時点で、感染者、死者の数が日本を上回り、米国CDC(疾病対策センター)によると、16日現在、3487人が感染し、68人が死亡している。
トランプ大統領は13日、「国家非常事態」を宣言した。
その米国で最初に感染者が出たのが、ワシントン州シアトルだった。太平洋に面してカナダと国境を接する場所にあって、米国本土では、日本からもっとも近い州だ。1月15日に、中国・武漢から帰国した30代の男性に感染が確認され、21日に公表されている。
さらに、最初の死者が出たのもワシントン州だった。現地時間2月29日、同州キング郡の保健当局が50代の持病を持った男性が死亡したと発表した。それと同時に、ジェイ・インスリー州知事が非常事態を宣言。16日現在の感染者数も904人と全米でもっとも多く、高齢者の介護施設で集団感染が起きたこともあって、死者の数は48人と全米の半数以上を占めている。