財務省本庁舎と金融庁が入る中央合同庁舎7号館

 日本銀行によるマイナス金利政策導入で、銀行業界を取り巻く環境は一変した。従来の預金と貸金の利ザヤで儲けるビジネスモデルは、もはや崩壊したといっていいだろう。

 特に、メガバンクに比べて経営基盤の脆弱な地銀、第二地銀、信金、そして信組では、生き残りをかけた再編が現実味を帯び始めている。そんな過酷な環境に晒されている銀行業界は、“2人の亡霊”に怯えているのだ。

退任直後に起業した前金融庁長官

 一人目は、森信親・前金融庁長官。現役時代は苛烈な指導で銀行業界だけでなく、部下からも“歴代最恐の長官”と恐れられていた。その森氏は2017年7月に退官し、わずか1週間後にコンサルタントを目的とした「日本金融経済リサーチ」なるコンサルタント会社を設立。長官経験者が退任直後に起業したのは極めて珍しく、“霞が関史上初”と揶揄されていた。

「日本金融経済コンサルタント」の登記簿を見ると、会社は目黒区内の財閥系不動産会社が運営する地上33階、地下3階オフィスタワー内にある。それまで森氏が住んでいた世田谷区太子堂の公務員宿舎からもほど近く、賃料も高額だという。が、外部から「日本金融経済リサーチ」の看板は見当たらず、間借りの可能性も否定できない。ちなみに、この会社の代表取締役は森氏が務め、役員欄には森氏の妻と、息子と思われる2名が名を連ねている。