大企業では「海外出張を伴う業務の遅延・停止」が6割

 「どちらかというと影響がある」とする企業について「影響の種類」をみると、「海外出張を伴う業務の遅延・停止」が40%で最多であり、次いで「物流の遅延・停止」と「製品製造・サービス提供の遅延・停止」がともに37%などとなっており、やはり、海外との人や物資の往来に関する業務に影響を懸念していることがうかがえる。(図表4-1)。

【図表4-1】「どちらかというと影響がある企業」における影響があると思う業務の種類【図表4-1】「どちらかというと影響がある企業」における影響があると思う業務の種類

 企業規模別に見ると、大企業では「海外出張を伴う業務の遅延・停止」が55%で最多であり、中堅企業では「製品製造・サービス提供の遅延・停止」が51%で最多となっている。また、中小企業では「物流の遅延・停止」が38%で最多であり、海外拠点はない中小企業が多い中、国内を拠点とした企業活動に必要な物資の輸出入に対する影響を懸念していることがうかがえる(図表4-2)。

【図表4-2】企業規模別 「どちらかというと影響がある企業」における影響の種類【図表4-2】企業規模別 「どちらかというと影響がある企業」における影響の種類

 最近流れる新聞やニュース等による情報では、企業活動への影響として「中国拠点の稼働時期の延期」に関わる内容が大きく取り沙汰される中、まずは人や物の移動も儘(まま)ならない事態が身近で多く発生しており、企業としてもビジネスマン個人としても今後の的確な対応を迫られているという状況なのではないだろうか。

企業活動への影響を考慮した対策を「とっている、検討中」は大企業で8割

 「企業活動への影響を考慮した対策の有無」については、「対策をとっている」が41%で最多であり、次いで「対策を検討中」が20%となっており、これらを合計すると61%の企業がすでに動き出していることが分かる(図表5-1)。

【図表5-1】企業活動への影響を考慮した対策の有無【図表5-1】企業活動への影響を考慮した対策の有無

 企業規模別に見ると、「対策をとっている、検討中」(「対策をとっている」と「対策を検討中」の合計、以下同様)の割合について、大企業では78%と8割である一方、中小企業では50%となっており、影響を懸念する割合が高い大企業における対応が目立っている(図表5-2)。

【図表5-2】企業規模別 企業活動への影響を考慮した対策の有無【図表5-2】企業規模別 企業活動への影響を考慮した対策の有無

 海外拠点有無別に見ると、「対策をとっている、検討中」の割合は、「中国拠点がある企業」では91%であり、「中国以外の海外拠点がある企業」では78%、「海外拠点はない企業」では45%となっている。やはり中国拠点がある企業と海外拠点が無い企業の温度差は大きく、対応の速度にも表れており、中国拠点がある企業にとっては経営に関わる喫緊の課題として対策に取り組んでいることがうかがえる(図表5-3)。

【図表5-3】海外拠点有無別 企業活動への影響を考慮した対策の有無【図表5-3】海外拠点有無別 企業活動への影響を考慮した対策の有無