東京のドラッグストアでマスクを買うために列をつくる人たち(2020年3月1日、写真:アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 2020年2月28日、72回目の誕生日を迎えた。「歳をとったなあ」という以外、なんの感慨もない。今最大の関心事は、なんと言っても新型コロナウイルスの感染拡大である。私も細心の注意を払っている。とは言っても入念な手洗い以外には、できるだけ密室の人混みに行かないことぐらいだ。

 私はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)という呼吸器疾患を抱えている。COPDというのは、細気管支炎や肺気腫により、肺の空気がうまく吐き出せなくなり、その結果、酸素不足を起こし、息切れを起こす病気である。このため、新型コロナに感染すれば重症化すると言われている基礎疾患の1つである。

 また私は、鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)という鼻の病気を抱えていた。鼻の中の軟骨が曲がっていて鼻詰まりがひどくなる病気である。このため二十歳過ぎに変形が強い軟骨と骨を切除して、鼻中隔の形を整える鼻中隔矯正手術を行った。それでも完全には治癒しない。今でも呼吸困難に陥って苦しむ夢を見ることがある。

 幸いCOPDの方は、原因となった喫煙を止め、定期的に呼吸器科に通い、処方された吸入薬治療によって、息切れ症状は劇的に改善した。ただこういう事情もあって、マスクが大嫌いである。すぐに息苦しくなるのだ。ただマスクをしないで咳をすると嫌がられるので買い物に行くときには、残り少なくなったマスクをかけている。