2020年は採用活動にとってどんな年になるか
今年は採用ルール、手法ともに大きな変化はない一方で求人倍率が上がり続ける採用難の年となるでしょう。募集費は大企業を中心に高騰し、採用支援や採用ベンチャーのサービスが活況になることが想定されます。
新卒採用は、今年も引き続きルールを守りながら戦う従来通りの活動が続くでしょう。昨年4月、経団連と大学側が新卒通年採用の拡大に合意しました。政府も同6月に発表した「成長戦略実行計画」の中で、今後の日本の成長戦略の一環として新卒一括採用を見直すことに言及しています。一方で、経団連の就活ルール廃止にともない、少なくとも2022年度卒までの新卒者については政府主導でルールを設定することを決定しています。
中途採用については、多くの企業がさらに苦戦する年になるでしょう。実は日本では有効求人倍率が上がり続けている一方で、雇用の流動化はほとんど進んでいません。厚労省の2018年「雇用動向調査」の結果によれば、転職市場が活況に思える現在でも転職者の入職率は全体の10%程度です。15年前の2004年と比べてもほぼ同水準で推移しています。
しかし、人材業界は活況です。矢野経済研究所の調べによると、人材派遣・人材紹介・再就職支援という主要人材ビジネス業界の国内市場規模は、2013年から毎年、前年比10%以上の拡大を続けています。現在の好景気と企業の人材不足が続く限り、この伸びは続くことが想定されます。
このように、今年は採用に関して大きな変化はないけれど、採用には苦戦を強いられる、人事部門にとってはもどかしい1年になる見込みです。また、我々人事がもどかしさを感じているところに、好景気を背景にした採用支援ベンダーがさらに強気で売り込みをかける姿がよく見られるようになるでしょう。
日本の採用活動における「本当の課題」とはなんなのか
人事担当者は毎日、大量の履歴書やエントリーシートを確認して、ダイレクト・リクルーティングで電話でもメールでも求職者へアタックします。それなのに、気づけば採用目標数に到達していない……。そんな日々を送っている担当者も多いと思います。一見、我々人事担当者が採用に苦戦しているようで、モヤモヤした気持ちになる原因はなんなのでしょうか。
採用における真の問題は、一言で言うと「問題の原因を把握していないこと」ではないでしょうか。ついつい私もやってしまいがちですが、施策がうまくいかないと他の施策や手法を試してしまいます。しかし結局、採用がうまくいかない「本当の原因」を把握していないと、他の手法を試しても同じ結果になります。
近年は人材不足といわれます。「少子高齢化が進んでいて学生を含む生産年齢人口も減少している」というような話を聞くと、日本にはもう働き手がいないとつい思いがちです。