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(北村 淳:軍事社会学者)
世界の関心が新型コロナウイルスに集中している中、中国の軍事的支配が確実になりつつある南シナ海で、米中の暗闘が繰り広げられている。
なんの警告にもならない「FONOP」
1月24日から25日にかけて、アメリカ太平洋艦隊に所属し、シンガポールに展開しているインディペンデンス級沿海域戦闘艦モントゴメリーが、2020年初の南シナ海における「公海航行自由原則維持のための作戦(FONOP)」を実施した。
米海軍第7艦隊によると、モントゴメリーは中国によって人工島化され軍事施設が設置されているジョンソンサウス礁とファイアリークロス礁の沿海域を通航し、「中国、ベトナム、台湾による過度な公海上の主権主張」に警告を発したとしている。
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アメリカが軍艦などを派遣して実施するFONOPは、特定の国に対して軍事的圧力を加えるのではなく国際海洋法秩序の遵守をアピールするための外交的軍事行動と位置づけられている。そのため「中国、ベトナム、台湾による」という名目を掲げているのである。だが、南シナ海での軍事的覇権を手に入れつつある中国に対して軍事的に対抗するアメリカの姿勢を示すためであることは明白だ。