●安全保障理事会を含む国際連合の全面的改革が必要であり、中国とロシアは、インド、ブラジル、南アフリカの国際的地位・役割向上の重要性を再確認する
(注:欧米主導でつくられた現在の国連は不平等・不公平なシステムだと批判するが、インド、ブラジル、南アフリカの地位向上の重要性を唱える一方で、日本やドイツに言及しないことも同様に不平等、不公平ではないのか)
●中東・北アフリカ地域における混乱を深く憂慮し、武力行使は回避すべきである
(注:リビアなどで欧米諸国が安易に軍事介入を行っていることを批判しているようだが、BRICSとして軍事的手段に代わる解決策を提示しているわけではない)
●国際通貨基金(IMF)改革目標を早急に達成し、商品デリバティブ市場の規制を強化すべきである
(注:欧米主導の国際金融システムにおけるBRICS諸国の発言力・影響力を高めようとする主張であるが、ここでも具体的改善策は示されていない)
●安定性と確実性を伴う広範な国際準備通貨制度に基づく国際金融システムの改革・改善を支持する
(注:名指しは避けたものの、明らかに米ドル中心の現行国際通貨制度を強く批判するものだ、他方、中国の人民元の取り扱いなどの具体的解決策は提示していない)
●原子力エネルギーはBRICSにとって重要な要素であり、安全な原子力エネルギーの平和利用に関する国際協力を推進すべきである
(注:BRICSが経済成長を続けるため必要なエネルギーを確保しなければならないことは分かるが、このタイミングで敢えて原子力の重要性に言及することは実に興味深い)
「BRICS」を政治利用する中国
以上のようなBRICS首脳会議の「政治化」を主導したのは、やはり中国であろう。中国は今回の首脳会議を大々的に宣伝しており、開催地である海南省三亜市のウェブサイトに今次首脳会議の公式サイトまで作っている。
これに対し、欧米メディアの反応は総じて鈍いようだ。少なくとも、BRICS諸国が国際金融システムに対し挑戦し始めたといった警戒心は見られない。
