命の危険に晒されると、とんでもない過ちを犯す場合がある。普段であれば、冷静に判断できるのだが、考えられない錯誤が起って発射ボタンを押した可能性がある。
総合作戦規定が必要な近代戦
地対空ミサイル部隊は、「ミサイルを発射するかどうか」を数秒内に判断しなければならない。
なぜなら、敵戦闘機の速度は速く、さらに、100キロ以上も離れたところから対地ミサイルを発射するので、地対空ミサイルの発射が遅れれば、友軍に大きな被害が出るためだ。
戦争がすでに開始されていれば、ミサイル発射の決断は難しいことではないが、このミサイルの発射が、戦争に発展するかもしれないという1発目の発射の決断は、極めて難しい。
現場の指揮官には、恐ろしいほどの恐怖感がある。
戦争に発展する可能性があるこの1発の発射を命じるのは、あらゆる情報が入ってくる司令部の司令官でなければならない。
しかし、イラン防空部隊によるミサイル発射はそうではなく、現場の防空隊長の決心に委ねられていて、その決心が誤ったものと考えられる。
米国軍とイラン軍の間で、米軍による巡航ミサイル発射や戦闘機による対地攻撃が差し迫っている時に、民間機の飛行を許可するか、禁止するか、あるいは、飛行禁止空域を設定するかしなければならない。
イラン政府は決定を有事の法制などで定めていたのだろうか。
イランは、緊張状態の時に、イランとイラクの国境付近を飛行する可能性がある航空機の飛行を許可していた。