イランは、米軍による突然の司令官殺害に対するやり返しの弾道ミサイル攻撃を行った時には、まだ国家内のあらゆる戦争準備ができていなかった。

 航空機の残骸と一緒に映っていたとされるミサイルの弾頭部分の写真は、明らかにロシア製の「SA-15ガントレット」短距離地対空ミサイルだ。

 ロシアは、イランに敵戦闘機を撃墜するためだけに輸出供与したものであろう。

 敵味方識別など、イラン国内で使用できる仕様にはなっていなかった。そのために、民間機や戦闘機も撃ち落す、また、友軍相撃の可能性もあった。

 撃墜されたウクライナ機は、陸海空での近代戦の戦争を周到に検討し、準備していない国家の犠牲でもある。

日本にも戦争の危機が迫る

 日本の周辺国を見ると、日本と北朝鮮(以後、北)の間で、不測事態が発生して、短期間のうちに戦争が生起する事態になりかねないことも予想される。

 現実的に予想される事態とは

①米軍が無人機で北の要人をロケット攻撃(斬首作戦など)し、その後、北が在日米軍基地にミサイルを発射する。米軍による航空攻撃と北による弾道ミサイル発射の連鎖反応が起こる。

 この場合、北が韓国ソウルへの砲撃あるいは奇襲的南侵もありうる。

②北の弾道ミサイルが日本列島を越えて、日本の領海付近に落下することが予想された場合には、航空自衛隊の防空の任務を有する司令官は、権限を委任されていて、自ら撃墜を命ずることがある。

 もしも、ミサイルが撃墜されたならば、北は、日本本土へミサイルを撃ち込むと威嚇する。あるいは、威嚇を越えて、通常弾頭のミサイルを日本の首都圏に撃ち込む可能性もある。

 2国間の軍事的緊張は、全面戦争に拡大する恐れが出てくる。