イランに撃墜されたウクライナ機の犠牲者を追悼する人々(写真:ロイター/アフロ)

 ウクライナ航空機が、1月8日の夜明け前の暗闇の中イランの首都テヘラン近郊で墜落した。

 墜落は、イランがイラクの米軍駐留基地をミサイル攻撃(真夜中の午前1時30分頃)した数時間後であった。

 欧米各国のメディアは当初、イランの地対空ミサイル(以下、ミサイル)の誤射によって撃墜されたとする見方を示した。

 一方、イランは「技術的な原因だ」「いかなるミサイルも機体に当たっていない」と述べ、撃墜の可能性を否定した。

 予想に反して、翌日には、イランはこの旅客機を誤って撃墜したことを認めた。

 欧米諸国がなぜ、「ミサイルによる撃墜だ」と判断したのか、イランが「なぜ、撃墜したことを認めざるをえなかった」のか――。

 これについて、自衛隊が装備する防空兵器の運用・整備の教育を受講したことや情報分析の業務に長く携わってきたことなどの知見を加えて分析する。

ミサイルが航空機に命中する様子

 メディアが公開している監視カメラが捉えたとする撃墜瞬間の映像を見て、ミサイルと航空機の動きを順番に解説する。

①青白い光が、旅客機よりも速いスピードで、斜め上空に上がって行く。ミサイルによる撃墜の証拠1。

②明るい閃光が、瞬間、丸く広がる。ミサイルが何かと衝突したことを示す。

③衝突後にも光は消滅しない。航空機が爆破したことを示す。この瞬間、爆破の規模は不明である。

④閃光が収まると、右上空に薄明るい細い光が広がる。ミサイルの破片ともに破壊された航空機の一部分が、燃焼しながら、飛び散った様子を示す。

 ミサイルと衝突しない限り、このような光の流れは生起しない。ミサイルによる撃墜の証拠2。

⑤光が、左の方向にしばらく移動する。ミサイルが命中して、機内の一部が、燃えながらも飛行していることを示す(図参照)。

⑥青白い光が、よろめくように下方に動いて、その後落下する。飛行不能になって落下することを示す。

 ①と④の事象は、機内にある火薬が爆発した場合には、発生しない事象で、ミサイルが衝突したことの明確な証拠である。

ミサイルが航空機に命中、爆破・燃焼する様子(イメージ)