本当の働き方改革:時間労働から成果労働へのシフト

 では、本当に「働き方改革」を成功させ、高い労働力を日本全体で効率よく維持するにはどうすればよいのでしょうか。

 まずRPAなどのデジタル活用です。ベンチャー企業ではIT化による業務効率化がかなり進んでいます。しかし、大手企業ではデジタル化が遅れています。なぜなら、ベンチャー企業は最初からITを使った経営がベースになっていますが、伝統的な大企業では旧来の日本型経営の仕組みをデジタルに変換する必要があるからです。大手の製造業では、いまだにERPの導入すらままならない企業が少なからず存在しています。

 次に副業の推進です。副業を推進することで、労働力のシェアを実現するのは論理的には簡単なことです。しかし副業ができるようになるには、時間労働をやめるしかありません。人には等しく24時間しか時間がありませんので、時間を投資してお金を得る方法では労働力投入量に限界があります。特に複数の仕事を行うならば、限られた時間をそれぞれの仕事に配分しなければなりません。

 このように日本がこれからも高い労働力を維持するには、デジタル化による業務効率化と時間の捻出、そして成果型労働への転換、この3つの条件が同時に起こらなければなりません。真の「働き方改革」とは、時間労働をやめ、成果労働・価値労働にシフトすることなのです。来年は、真の「働き方改革」が進むのでしょうか。今後の日本に期待したいと思います。

【参考】厚生労働省:「働き方改革」の実現に向け

著者プロフィール
 

中野 在人

東証一部上場大手メーカーの現役人事担当者。
 

新卒で国内最大手CATV事業統括会社(株)ジュピターテレコムに入社後、現場経験を経て人事部にて企業理念の策定と推進に携わる。その後、大手上場中堅メーカーの企業理念推進室にて企業理念推進を経験し、人材開発のプロフェッショナルファームである(株)セルムに入社。日本を代表する大手企業のインナーブランディング支援や人材開発支援を行った。現在は某メーカーの人事担当者として日々人事の仕事に汗をかいている。
 

立命館大学国際関係学部卒業、中央大学ビジネススクール(MBA)修了。
 

個人でHRメディア「HR GATE」を運営中。
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