ニューデリーの地下鉄駅近くに掲げられた、アマゾン・インディアがインド国内で50万の販売業者と提携していることを知らせる看板(2019年10月撮影。写真:ロイター/アフロ)

 ロイター通信や米ニューヨーク・タイムズによると、日本の公正取引委員会に相当するインド競争委員会(CCI)が米アマゾン・ドット・コムと米ウォルマート傘下のインド・フリップカートに対し、競争法違反の調査を開始するという。

独占販売や偏った販促、大幅値引きなどを調査

 これら外資のeコマース大手が、その市場支配力を乱用し、同国の中小小売業者の競争力を弱める行為をしていないかどうかを詳しく調べるとのことだ。

 CCIは、アマゾンなどが次のような競争違反をしたと疑っている。(1)スマートフォンメーカーとの提携による新製品の独占販売、(2)特定の出店業者を対象にした偏った販売促進、(3)大幅値引き、(4)特定の出店業者の優先表示(CCIの資料)。

 ここでインドの外資規制について確認しておく。同国はアマゾンなどの外国企業がeコマース事業を行うことを禁止している。その一方で地場の小売業者(出店者)と消費者を仲介するマーケットプレイスは許可している。

 ただ、それには条件がある。昨年2月の規制強化によって、傘下のインド小売企業を通じて自社マーケットプレイスで商品を販売したり、出店者と独占販売契約を結んだりすることができなくなった。

外資EC企業に求められる「中立なマーケットプレイス」

 外資企業は、中立なマーケットプレイスを運営し、地場の小売業者を保護しなければならないという。運営者が自社のプラットフォーム上で自ら商品を販売し、インドの小売業者と競争してはならないし、同様の行為を自社の関連会社を通じて行うこともできない。

 こうした中、アマゾンやフリップカートが地場企業との合弁会社や、合弁会社の子会社を自社プラットフォームに出店させ、他の小売業者の競争力を弱めたと、インド当局は疑っている。