ウクライナを見よ、
原発事故でも農業は揺るがない

2011.04.11(Mon)川島 博之

 ただ、残念ながら、韓国がウクライナから60万トン(2008年)もの小麦を輸入しているのに、日本は輸入していない。

 今後、日本の農作物が風評被害に遭う可能性を考えると、日本はウクライナから積極的に小麦を輸入して、ウクライナの農民を助けるべきだったと思う。これまでの日本は、食物の安全と安心について少し過敏に反応し過ぎていたようだ。

農業にも市場主義経済が浸透し、効率が高まった

 1000万トン以上の穀物を輸出するようになったウクライナだが、92年の段階では穀物を輸入していた。ただ、それは原発事故の影響ではない。旧共産圏の農業が効率的ではなかったことが理由だ。

 ソ連は広大な農地を抱えながら、当時、世界最大の穀物輸入国になっていた。そのために、ソ連を継承したロシアも、当初は穀物の大量輸入国であった。そう考えれば、ウクライナが独立当初、穀物を輸入していたことも納得できる。

 その後、ウクライナが穀物の輸出国に転じた理由は、農業にも市場主義経済が浸透し、効率が高まったためだ。

 その輸出額の増加傾向は、ほぼロシアと同様である。国レベルで見れば、ウクライナもロシアと同様に「チェルノブイリ原発事故の影響を受けていない」と考えていいだろう。

 チェルノブイリ原発から半径30キロメートル以内は、現在でも、立ち入り禁止になっているから、そこで穀物を生産することはできないが、それ以外の地域が長い間汚染に苦しむことはなかったのだ。

 原発事故が国全体の農業に対して、長期にわたり悪影響を及ぼすことはない。原発事後が一刻も早く収束することを祈るばかりだが、「レベル7」になったチェルノブイリ原発事故でさえ、国全体の農業には大きな影響を与えることはなかった。この事実は、日本の農業を大いに勇気づけるものになろう。

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