溶液Bはそもそも、複数の放射性物質の合計値が書かれているので、ヨウ素131を計った溶液Aとは単純に比べられません。それでも桁を揃えてみれば、次のようになります。
A: 3億ベクレル/リットル
B: 1万4800ベクレル/リットル
全然違う値になっていることが分かります。お父さんの財布に1万4800円入っていても驚きませんが、3億円あったらびっくりです。
放射線というと特別なことのように思いがちですが、毎朝昇る太陽の光も、宇宙から飛んでくる放射線の一種で、植物は太陽光のエネルギーで光合成して大地の恵みを作り出します。
紫外線に当たると陽に焼けますね。地球の奥底からも、私たち人類が生まれるはるか以前から、豊富に存在するラドンという物質から「地殻ガンマ線」という極く弱い放射線が出ています。
こうした天然の放射線量と、上の汚染水のデータを比較してみましょう。
世界保健機構(WHO)の飲料水安全基準はヨウ素131について、100ベクレル/リットル以下の放射線であれば、赤ちゃんのミルクを溶くのに使っても問題ないとしています。
溶液A: 3億ベクレル/リットルのヨウ素131
溶液B: 1万4800ベクレル/リットルの、複数の放射性元素
赤ちゃんのミルク:100ベクレル/リットル以下のヨウ素131なら安心
このように比べると、溶液Aは300万倍に薄めなければ安心できない高濃度の汚染水、溶液Bは汚染物質を確定しなければきちんとしたことは言えないけれど、仮に放射性物質がすべてヨウ素であったとすると100倍以上に薄めないと安心できない汚染水、AとBの汚染具合は粗く見積もっても3万倍ほど違うらしい、と察しがつきます。
