リクルーターとしての高い意識を全社員で共有することが重要

――リファラル採用を成功させるためには、何が重要な鍵になるとお考えですか?

 自社にマッチした人材を探し、人材獲得を通じて会社に貢献したいという気持ちを、社員ひとり一人が持つことが何より重要でしょう。制度の認知が広がり、登録者が増えたところで、「会社を強くするために優秀な人材を採用したい」との思いが社員になければ、この仕組みは機能しませんし、単に10万円を目当てに適当な人を紹介するだけでしたら、会社のためにもなりません。「きっとこの人なら富士通で活躍できるに違いない」という人事や採用担当者が当たり前のように持っている視点を、全社員に共有できるかどうかが重要な鍵になると思います。

 また、インセンティブを10万円から20万円に増やしたところで、社員のモチベーションを大きく左右するとも思いません。それより使いやすいツールを提供することにより、リクルーターの活動をしっかり後押しすることのほうが重要だと考えています。

――最後に、リファラル採用に関する今後の目標やビジョンをお聞かせください。

 リファラル採用単体での目標数は特に掲げておりませんが、現在キャリア採用で150名くらいを採用している中で、リファラル採用が占める比率をさらに上げていこうと考えています。この比率をどこまで上げていけるかは、今後の取り組み次第でしょう。人材の獲得競争が激しくなる中で、我々もダイレクトリクルーティングなどさまざまな採用手法を取り入れ、従来の守りの採用から攻めの採用へのシフトを進めているところですが、リファラル採用もその中の大きな軸の一つとしてきちんと育てていきたいと考えています。

 しかし、確実に言えるのは、導入1年にしてリファラル採用がすでに富士通の人材獲得チャネルにおける有効な手段の一つになりつつあるということ。高いポテンシャルを持つ手法であると考えています。今後はより一層リクルーターとして活動する社員の裾野を拡大するとともに、リファラル採用がキャリア採用におけるメインチャネルとなるよう、全社員が人材の獲得を自身のミッションと捉え活動するような企業風土の醸成を含め、この仕組みの定着に向けたアクションを確実に進めていきたいと考えています。

黒川和真氏
富士通株式会社
人事本部 人材開発部 人材採用センター マネージャー

大阪大学卒業後、1998年に富士通に入社。富士通健康保険組合への出向を経て、2001年に人事勤労部グループ人事部に配属となる。2006年にプロダクト事業推進本部勤労部へ異動し、2011年にはプロダクト事業推進本部人事部担当課長に就任。2014年より人事本部人事労政部マネージャーとして手腕を発揮した後、2017年より現職。